朝から夕方まで、訪れる客が多い「泉水園」

菊鹿町相良地区にある相良寺(あいらじ、通称:相良観音)は、天台宗総本山比叡山延暦寺の末寺で、約1200年前に開かれました。子授け・安産祈願などに訪れる参拝客で賑わいます。

特に秋から初冬にかけては、参道に店を構える「泉水園」の「栗まんじゅう」を楽しみに訪れる人も多いようです。

参道の茶店「泉水園」名物の「栗まんじゅう」。6個で480円

「泉水園」のオリジナルの「栗ようかん」も人気です。1個550円

栗まんじゅうは、手作りの小豆あんに刻んだ栗が入っており、ニッケの葉を添えて蒸したもので、懐かしいニッケの香りと優しい甘さが溶け合うおいしさです。昔ながらの味を守るのは、初代おかみの猿渡ツル子さん(84)。ツル子さんは今も毎朝店の厨房に立ち、嫁の信子さん(62)、信子さんの長女の理絵さん(35)、次女の佑美さん(33)と一緒にまんじゅうを作っています。

「リーダーはばあちゃんです。『おいしかもんば作るには、手ば抜いたらでけん』が口癖です」と理絵さんが言うと、「店の前の椅子にお客さんが座ってらっしゃると、『はよ、お茶ば出してあげんと寒かろ』と私たちより早くお出しすることもあります」と佑美さんが付け加えます。

「泉水園」にはこれまで度々取材でお邪魔しています。久しぶりにツル子さんにお会いできると楽しみにしていましたが、この日はあいにく外出中とのことで再会はかないませんでした。

「あれんじの大ファン」と言ってくれる、左から次女の猿渡佑美さん、母親の信子さん、長女の理絵さん


家族で仲良く 笑顔あふれる商売

「泉水園」には頼もしい〝新顔〟も加わっていました。使い込んで60年になるという年代物のせんべい焼き器の前に座り、名物の瓦せんべいとピーナツせんべいを焼いているのは、長男の貴幸さん(30)です。

貴幸さんは大分・由布院のホテルで料理人として働いていましたが、熊本地震を機に菊鹿町に戻りました。そのころ、せんべいを焼く職人さんが「高齢になったので引退したい」と申し出たこともあり、貴幸さんがその技術と機械を受け継いだそうです。

店の近くの工場では、直径2mほどの円形のせんべい焼き機の前に座り、「1日10時間ほど焼き続けます。夏場はしんどいけれど、お客さんが待ってらっしゃるから頑張れます」と貴幸さん。また、きょうだいで考案した「山鹿たけのこ肉まん」も登場し、人気を呼んでいます。きっと、新春の初詣の参道に、心も体も温まるおいしい香りが漂うことでしょう。

「泉水園」のもう一つの名物、「瓦せんべい」。16枚入りで400円。

「心を込めて、せんべいを焼いています」と優しい笑顔を向ける猿渡貴幸さん

泉水園

山鹿市菊鹿町相良374

TEL.0968-48-9725

営/9時~17時

休/なし


旅のおみやげ 菊鹿町

菊鹿ワイナリーに併設された「AIRA RIDGE」内にある「Shop」には、地元の食材で作ったオリジナルの加工品や、山鹿市の特産物が販売されています。

お土産にお薦めなのが菊鹿町でとれる貴重なはちみつ。「日本みつばち菊鹿」108g・2400円、「日本みつばちアーモンド」150g・2500円、「日本みつばちくるみ」150g・2500円の3種類です。


旅の終わりに・・・

菊鹿ワイナリーから帰る途中の県道沿いに、懐かしさを覚える光景を見つけました。「長(なが)地区」と呼ばれる集落で、各家には石積みの垣が施されていました。庭で何かを燃やす淡い煙が上がっていたり、大根や白菜が干してあったりと、里山の風情に心が癒やされます。便利なコンビニはないけれど、地区の皆さんが慈しむ心豊かな暮らしを思いました。


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