坪井川下流の新呉服橋から見た明十橋。橋の手前右の建物は旧第一銀行熊本支店跡

その日、明け方から空を覆っていた雨雲が風に押されて一掃されると、透明感を感じる秋空が広がりました。少しずつ日差しも和らいできていて、城下町散策にはもってこいの天気です。

新町と古町の間を坪井川が流れています。古町は南に白川も流れ、江戸時代には水運を生かした物流拠点でした。今回は、熊本の郷土史を研究している山口浩輔さん(75)と一緒に、坪井川の橋巡りからスタートです。

143年前に架けられた明十橋は、現在も人や車が往来。当時の石工の技術の高さが分かります

山口浩輔さんは熊本市立現代美術館で「郷土史でおもてなしサロン」の講座を主催。秋津公民館「自主講座郷土史」の講師

出発点は熊本市電の洗馬橋電停から南下したところにある「明十橋」。西南戦争があった1877(明治10)年に完成した石橋で、矢部の通潤橋を架けた種山石工の橋本勘五郎が手掛けたとされます。 「橋の上から西に目を向けると河岸の荷揚げ場跡が見えます。明治期には木造3階建ての商家が立ち並び、表の通りからは2階建てのようですが、1階は荷揚げスペースに活用されていました」と山口さん。

橋の南のたもとにたたずむのが、旧第一銀行熊本支店跡の建物です。1919(大正8)年に完成した鉄筋コンクリート造り2階建てで、国の登録有形文化財。現在は空調機器メーカーのオフィスビルとして活用されています。

坪井川の左岸に残る荷揚げ場の跡

旧第一銀行熊本支店跡の建物

坪井川と並行する唐人町通りを下流側に向かいます。明十橋の次の橋が「新呉服橋」。古い記録によると1920年に木橋が架けられたとあり、新町から呉服町側へ渡る橋で、現在の橋の竣工は1983(昭和58)年3月です。

1983年に竣工した「新呉服橋」

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