甲斐重照さん。「こども野菜塾」のシイタケ収穫でも大活躍でした

草刈りをしていた宝勢光子さん。「ここで育てた棚田米は、最高です」

集落に暮らす甲斐重照さん(70)は、3年前まで熊本市内に住んでいましたが、勤め先の定年を期に夫婦でふるさとの菅地区に戻ってきました。「いろんな野菜を作って自給自足をしています。92歳になる母も同居を喜んでくれています」と話します。

また、ここで生まれ育ったという宝勢(ほうせい)光子さん(67)も、昨年2月に、広島県から夫婦で夫の両親も一緒に矢部に戻ってきました。宝勢さんは浜町に住み、菅地区で暮らす父親のもとに毎日通っているそうです。「田んぼは使わないと荒れてしまうから、今年は夫婦で初めてお米を作りました。高森に温泉に行ったりして、のんびりと田舎暮らしを楽しんでいます」と充実した日々を送っているようです。

集落では若い担い手が減少していますが、こうしたUターン組もいます。都会暮らしに別れを告げ、生まれ育った場所に戻って来た理由は、〝帰巣本能〟ともいえる郷土愛からのようです。

田んぼの至るところに、保存食用の豆が干されています

さて、近年、この集落に元気をもたらしているのが、熊本市出身で元県庁マンの菅(すが)純一郎さん(67)です。菅さんと菅地区の出会いは1996年に菅地区の「棚田オーナー」になったことがきっかけでした。この場所の豊かな自然や食、魅力的な人たちと出会い、すっかりほれ込んだそうです。

それからというもの、熊本市内の自宅に設けた野菜の直売所で集落の野菜を販売したり、農家で茶飲み話を楽しむ「縁側カフェ」や「里山レストラン」などを地域の人たちと展開したりしています。

甲斐さんの指導で、シイタケ収穫を楽しみました

「“ゲームより楽しい!”と子どもたちが言ってくれるのがうれしい」と菅純一郎さん

2018年からは「こども野菜塾」の取り組みも始まりました。これは、子どもたちに有機農業の先進地である山都町に来てもらい、野菜の収穫体験などを通して、そのおいしさを実感してもらおうというものです。

取材に訪れた日は、熊本市内の子どもと保護者33人が集まり、里芋やシイタケを収穫し、地元の主婦らとともに調理して交流を楽しみました。シイタケの収穫では甲斐重照さんが、料理作りでは大和幸子さんが現場を切り盛りし、菅さんと一緒に盛り上げていました。

こんにゃくイモを丸めてゆでる参加者の皆さん

「里芋って、親芋と小芋があるのを初めて知りました」と参加者の大庭守麗(おおばしゅれい)さん(47)と、守善(もりよし)くん(5)

「でっかいシイタケが採れたよ」。小学3年生の岩﨑明(さや)さん

料理づくりの会場は、「旧白糸第二小学校」の校舎跡です。調理室にはだご汁とカレーのおいしい香りが漂い、子どもたちの元気な声が響き渡りました。

旧・白糸第二小学校校歌

青く波うつ野の果てに
阿蘇の煙が呼んでいる
われら白糸第二校
見おろす谷にしぶきして
流るるあれは緑川

こども野菜塾

料理づくりの会場は「旧白糸第二小学校」の校舎跡です

TEL.090-9796-7885

(菅純一郎さん)

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