槻木集落を流れる綾北川。川の両側に広がる森は、少しずつ紅葉し始めていました

多良木町の中心部から車で南東に向かい、つづら折りの峠道を上ること約30分。標高約750メートルの槻木(つきぎ)峠を越えると、宮崎との県境に近い槻木地区にたどり着きます。多良木町の総面積の半分以上を占めるほど広大な槻木地区には現在、60数戸の民家があり、住民同士が支え合って昔ながらの営みを続けています。

あぜ道を彩る花々や刈り取った稲の掛け干し、軒先に干してある落花生の光景など、のどかな暮らしぶりが伝わってきます。お風呂や暖房に使うのでしょうか、集落の多くの家が煙突付きで、外には割って間もない薪が積み上げられていました。

地元の木材を多く使った「TSUKIGI×TABLE」。都市と地域をつなぐ場所にもなりつつあります

簡易郵便局の先の小道で、手作りの看板を見つけました。「TSUKIGI×TABLE(ツキギテーブル)」は、2016年に熊本市から槻木へIターン移住した遠藤眞一郎さん(34)が営むイタリア料理店です。渓流の音を聞きながら槻木でとれるジビエや山菜、自家栽培の野菜を使ったイタリア料理を味わえるとあって、熊本や福岡から訪れる人もいます。

前菜3種盛やサラダ、日替わりのパスタやデザートなどがセットになったランチ(1300円)は、1日20食限定(3日前までの完全予約制)

イノシシや鹿肉などを使ったジビエランチ2500円の一品。コース料理(3500円~)は昼夜予約可

地元の人とジビエ加工品の開発や都市農村交流体験型のフリースクール、就労支援施設などの計画もあるという遠藤さん。「母校の南稜高校の生徒の進路につながる取り組みにしたい」と話します

遠藤さんは以前、熊本市内で会員制のバーを経営していましたが、熊本地震で被災したのを機に「自然の中でイタリア料理店を経営したい」と移住を決心したそうです。遠藤さんは熊本市出身。中学校で体操部に入っていて、進学先に体操が盛んだった南稜高校を選び、青春時代を球磨郡で過ごしたそうです。「深いご縁がある地域でしたから、移住へのためらいはありませんでした」と話します。槻木に移住して数カ月後、かねてから交際していた知世さん(35)と結婚し、槻木の公民館で開いた披露宴で住民の祝福を受けました。

「田舎暮らしはのんびりしているように見えますが、やることはいっぱい。シイタケや栗の収穫のお手伝いなど、季節の仕事も多く、充実した日々を過ごしています。以前より、地に足をつけて生きている実感があります」と遠藤さんは話します。

今年5月には、待望の第一子・和(にこ)ちゃんも誕生。この新しい命は、槻木の住民にとっても、「休校中の槻木小を7年後に再開しよう!」という希望の光になっているそうです。

遠藤眞一郎さんと5月に生まれた娘の和ちゃん。妻の知世さんは集落の診療所に事務員として勤めています

TSUKIGI×TABLE

球磨郡多良木町槻木314

TEL.080-1788-8932

営業/11時~15時、17時~応相談(いずれも3日前までの予約が必要)

休/不定

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