「春から夏に煮しめをつくるときは、油を使わないのが腐敗させないコツ」だそう

相良村きっての料理名人がいると聞き、「農家民宿 くりの里」へお邪魔しました。「くまもとふるさと食の名人」でもある牧山規矩子(きくこ)さん(75)が5年前に始めた体験型の民宿は、家族連れや海外の旅行客にも大人気です。

「郷土の食を伝えるためには、一緒に作って食べることが必要だと思って宿を始めました。昔ながらの料理を作る機会のないお母さんたちや、ふるさとの味を知らないまま育つ子どもたちもいるのかと思うと、いても立ってもいられなくてね」と規矩子さん。

「毎年泊まってくれる学生たちもいるんですよ。『ばあちゃん、ただいま!』って来てくれるとうれしいもんね」と、顔をほころばせる規矩子さん

約4千㎡の栗畑のそばにある「農家民宿 くりの里」

それにしても、テーブルの上に並んだ手料理の見事さには驚くばかりです。自家栽培の野菜や山菜をたっぷり使ったお煮しめは、いりこのだしがきいて野菜の滋味が生きています。6種類の手作りの漬物に、具だくさんの「つぼん汁」、栗をくるんだ春巻き、いきなりだんご風の「栗なりだんご」など、どれもこれも“これぞお袋の味!”という味わいです。

箸が止まらなくなった漬物6種と黒豆の盛り合わせ

人吉球磨の郷土料理「つぼん汁」はやや甘めのホッとする味。山菜おこわや栗入りの赤飯、塩こうじ炊き高菜おむすびも美味! 右は、甘こうじと「頑固とうふ」の豆乳のデザート

ホクホクとした食感と甘みが生きた「栗の春巻き」とオリジナルの「栗なりだんご」

中でも、ふっくらでつやつやとした黒豆があまりにもおいしくて、コツを尋ねました。すると「黒豆は水加減。砂糖と塩としょうゆとソーダ(重曹)を加えて水を張り、一晩漬けておくとよ。翌日、豆がたっぷりと隠れるほどの汁でコトコト煮ると張りがでるけんね。頭が見えるとシワになりやすかよ」

また冷凍調理も教えてもらいました。「ミニトマトは3日くらい冷凍して、砂糖とお酢に漬け込むだけ。解凍する時にトマトの水分が出て、ちょうどいい味加減になると。汁ごとスプーンですくって食べたらおいしかけん」

この他にも、次から次にレシピが飛び出します。規矩子さんの、食卓を預かる作り手への思いと、それをいただく家族や子どもたちへの愛を感じました。

みそにみりんと蜂蜜を入れて豆腐を漬け込み、軽くあぶって大葉で巻いた豆腐のみそ漬け。奥は、ショウガじょうゆでいただく「四浦こんにゃく」

農家民宿 くりの里

球磨郡相良村柳瀬2837

TEL.090-7290-2228

料/1泊夕朝食付6500円、日中の料理体験2500円
(作ったものはその場で食べる、または持ち帰り)
※宿泊の最大収容人数は5人まで

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各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。