不知火海と天草諸島、袋湾を一望する甘夏畑

袋地区へと向かいました。山の斜面には、初夏のかんきつ系の果物が実っています。丘の上からは、凪(な)いだ海と天草諸島や長島(鹿児島県)が見えます。

茂道港の一角にある作業場では大澤忠夫さん(75)一家が甘夏の出荷作業に大忙しです。

忠夫さんは今から45年前、水俣病患者を支援するために、京都から妻のつた子さん(72)と移住しました。当時、茂道の漁師たちは海の汚染で漁場を奪われ、陸に上がった人もいます。漁師たちが新たな生活の糧として始めたのが甘夏みかん栽培です。

「この地域のみなさんは、自然に負担をかけないことを第一に、農薬や肥料を極力使わない栽培方法を選びました。ただ、試行錯誤しておいしい甘夏を作っても販路がなく、自分にできることとして、生産者や水俣病のことを伝えながら、販路開拓を始めたんです」

忠夫さんは全国各地を駆け回り、少しずつ販路を広げていきました。「甘夏を載せたリヤカーを引く父や、生産者との調整に追われる母の姿を見て育ちました」と話す長女の菜穂子さん(45)は、両親の意志を受け継ごうと、弟の基夫さん(38)、妻の愛子さん(36)夫婦とともに「からたち」を設立し、販路開拓や水俣の歴史と魅力の発信に取り組んでいます。

左から大澤愛子さんと基夫さん、忠夫さんと菜穂子さん。「夏には湯の児の海辺でボード体験なども企画しています」と基夫さん

菜穂子さんはこう言います。「生産者も高齢化しているので、地域の思いをくんで栽培を引き継いでくれる人を探すのもこれからの私たちの仕事です」

茂道でとれた安心・安全の甘夏は甘酸っぱくて、みずみずしい果汁に喉が潤されました。

地元の就労支援施設「まどか工房」とコラボレーションした「甘夏かりんとう」も人気

「からたち」は、甘夏の出荷作業に大忙し

からたち

水俣市袋2501-211

TEL.0966-63-7578

オンラインショップ/https://karatachi.shop-pro.jp/

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