「子どもたちが振り回しても壊れないように工夫して作っています」と高濱さん

2011年に開業した富合駅の西側にあり、田園地帯が広がる志々水(ししみず)地区では、メロンや米、小麦のほか、四季折々の野菜が栽培されています。高濱征一さん(77)のお宅を訪ねました。高濱さんは農業を営む傍ら、地区の伝統を次の世代へつなぐ取り組みをしています。そのひとつが「もぐら打ち」。もぐら打ちは、わらなどを束ねて作った棒で庭先や田畑の地面をたたいて回る伝統行事で、もともとは田畑を荒らすモグラの害を防ぐために行われていました。

高濱さんがもぐら打ちのデモンストレーションをしてくれました。「パーン、パーン」と小気味よい音が響きます

「今から40年くらい前まで、もぐら打ちの棒は家々でおじいさんが孫のために作るものでしたが、最近は依頼される分が増えました。今では地区の子ども全員の分を作っています」と高濱さん。1本作るのにかかる時間は約40分。その技を伝えたいとの思いから、近年は保護者を集めて講習会も開いているそうです。

「志々水地区の戸数はこの数年で2倍以上に増えました。長く住む人も、新しく住民になった人もみんなで暮らしやすい町を作りたいですね」

高濱さんの家の前にある自家菜園には、いろんな野菜や果物が育てられています。「うちのハクサイとキャベツは特別甘かけん、食べてみんね」と言う高濱さんは妻の久代さん(71)と二人で収穫を始めました。両手で抱きかかえられるか?というほど大きなハクサイに泥付きダイコン、はち切れんばかりに丸々と太ったキャベツ。さらには晩柑、ハッサク、スイートスプリングまで、一輪車はあっという間にいっぱいになりました。

お土産にいただいた野菜。旬の野菜をお福分けしてくださる気持ちがありがたく、この日の夜、鍋でおいしくいただきました

軽トラックの荷台に高菜漬け用の高菜が干してありました

「畑の周りの木は全部果物。ミカンにビワ、一年中何かのフルーツがなるのよ。野菜も花も栽培していて、ほとんど買うことはありません」と久代さん。季節の実りや風景を写真に収めたり、短歌に詠んだりするのが楽しみなのだそうです。心豊かな暮らしのありかたを教わる気がします。

次は:(4)国道沿いの日常。登校児童の見守り隊と、地元で愛される中華食堂。


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