石の上に根を這わせて徳永さんが仕立てた、バラ科ボケ属の「長寿梅」。険しい山肌に生きる植物の姿を表現したものです。また徳永さんはこういったベーシックな作品の他に、現代アート的な盆栽も仕立てています

盆栽作家 徳永功さん

「盆栽の魅力は、自然の命を借りながら自分の心に浮かんだ情景を作り上げていくところです」と言う徳永さんが、盆栽作家を目指したのは今から17年前のこと。

当時、徳永さんは自分の将来についてあれこれ迷い、ミャンマーへ旅に出たそうです。その旅先で一人の僧と出会い、そこで見せてもらったのが盆栽でした。そして、「あなたの国には、何と素晴らしい文化があるんだ」と言われ、とてもうれしく、誇りを感じたそうです。

「帰国後も僧の言葉が頭から離れず、自宅の庭で父親が趣味としている盆栽を初めてじっくり眺めました」と話します。その頃、父親との仲がギクシャクしていたそうです。すると盆栽の中に、「イサオ」という名前書きの付いた茱萸(ぐみ)と楓の木を見つけました。それは、徳永さんが生まれた時に、父親がタネから育て始めたものだったそうです。

「いろんな思いがその瞬間に重なり、盆栽の世界を目指そうと決心しました」と徳永さんは振り返ります。

盆栽についていろいろと教えてくれた徳永功さん


盆栽に魅せられた 小3の盆栽少年も

徳永さんは盆栽界の大家で愛知県にある「大樹園」の鈴木亨氏に会いに行き、弟子入りを志願しました。教えは厳しいもので、技術だけでなく、その後の生き方にも影響を受けたそうです。

「大樹園での6年間は、本当に多くのものを学ばせてもらいました。熊本に戻り『樹心園』を開いた時、誰よりも父が喜んでくれました」と徳永さんは話します。

樹心園には小さいものから1m以上の大物までの盆栽が育てられていて、価格も500円くらいから高額のものまでそろっています。また、月に4回の盆栽教室も開いており、老若男女の幅広い盆栽ファンが参加しているそうです。

その中に荒尾市に住む小学3年生の濱田昴君(9)もいます。「テレビで高校生が盆栽を育てているのを見て、始めてみたいと思いました」と話す昴君。盆栽歴はまだ半年ですが、黒松や槇柏(しんぱく)、梅、楓など10鉢の盆栽の世話をしているそうです。

「盆栽の楽しいところは自分で枝を曲げたりして、思う形に作れた時に達成感を感じます」と、大人顔負けの感想が返ってきました。

「濱田君のご両親の理解も深く、こうして子どもさんに盆栽への興味を持ってもらえるのはとてもうれしいことです」と徳永さんは目を細めていました。

「盆栽はゲーム遊びと同じくらい好きです」と話す濱田昴君

昴君が育てている槇柏の盆栽。水やりはお母さんに手伝ってもらう時もあるそうです

【樹心園(きごころえん)】

住所/玉名郡長洲町清源寺3231-1
TEL/0968-78-1300

「樹心園」では徳永さんの指導による盆栽教室が開かれています。
■日時/毎月第1、第2の土日
■会費/3000円(昼食付き)
■入会金/5000円
■時間/10時~14時
※詳細はお問い合わせください

盆栽は園芸店でも売られていますが、熊本市東区や菊陽町にある「ハンズマン」のグリーンコーナー、宇城市松橋町の「サンサンうきっ子宇城彩館」の盆栽コーナーなどにもそろっています。


最後に

自分で黒松の盆栽を世話するようになってから1年がたちます。屋外ではなく、日当たりのいい窓辺で育てており、半日ほどは窓を開けて風を当て、雨の代わりに霧吹きで葉水を与えています。

徳永さんにこの育て方について尋ねてみると、「木が屋内での生育環境に慣れたのでしょうね。何より大切なのは、そうやって愛情深く育てることではないでしょうか」と言ってくれました。

黒松の小さな小さな〝林〟の中には、フィギュアの庭師たちが作業をする様子をこしらえています。毎朝眺めながら、森林浴気分を味わっています。


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