本来は向かって右側が男びな、左側が女びなでした。位置が変わったのは大正時代(展示品につき小道具は付けていません)

宮中の結婚式を模した7段のひな飾り。 緋毛氈(ひもうせん)には魔よけの意味があります

人形をしまえる引き出しがひな壇になるひな飾り(60×57×66cm)

古くから今に至るまで、大切に受け継がれてきたひな飾り。豪華な七段飾りをはじめ、集合住宅が増えた高度経済成長期以降には、場所を取らない男女一対のひな人形やコンパクトにまとめたひな飾りに人気が出てきました。

「宮中の結婚式を模したひな飾りは、南に向かって立つ京都御所の正殿・紫宸殿(ししんでん)が舞台。本来、男びなはひな壇に向かって右側に座っていました。太陽が昇る東に座り、身を清めるという太陽信仰からくるものです」と話すのは、玩具・節句用品専門店「コデラ」専務、小寺由美子さん(64)です。

ひな人形について教えてくれた小寺由美子さん

場所をとらず、飾った後で箱の中にしまえるコンパクトなひな飾り(40×30×33cm)

現在のように向かって左が男びな、右が女びなの並び方になったのは大正時代以降。大正天皇に外国の要人が謁見した際、「右手に剣を持ち、左手で女性を支える」という欧米の男女の立ち位置に倣ったことが始まりとされるそうです。ただ、京びなは今でも本来の位置で飾られます。


赤いお顔の… 実は「左大臣」

♪あかりをつけましょぼんぼりに…。

おなじみの「うれしいひなまつり」(サトウハチロー作詞、河村光陽作曲)ですが、この中に、誤解された部分があります。3番の歌詞に「少し白酒召されたか 赤いお顔の右大臣」と出てきますが、顔が赤いのはひな壇に向かって4段目の右側に飾る「左大臣」。「右大臣より位が高い左大臣は、内裏びなの側から見て左側に鎮座します。もしかすると勘違いがあったのかもしれません」と小寺さん。

「赤い顔」の人形は左大臣(右)で、向かって右側に座ります。左は右大臣

また「右近のタチバナ」「左近のサクラ」と覚える花飾りも、あくまで主役側から見た位置のことで、飾る際には向かって右にサクラ、左にタチバナを置きます。ひな壇が模している紫宸殿の前庭には、二つの木がそのように植えられています。

ひな飾りは節分を終えた2月4日から飾り付け、前日の一夜飾りは避けます。「ひな飾りは片付け上手な女性に育てる教材でもあります。飾る期間が終わったら天気の良い日を選び、人形のほこりを払って箱にしまうのがお勧めです」と小寺さんが教えてくれました。

右近のタチバナ

左近のサクラ

一対のひな人形の台座のひし形の模様には、長寿の願いが込めてあるそうです

ひな飾りの道具は、江戸は武家、上方では公家のものを模しています

「さがりもん」は江戸時代、大名家に仕える女中が作って飾ったことに始まります。江戸後期には庶民にも広がりました。熊本の肥後手まりも城の女中たちから生まれたものです

コデラ

熊本市南区流通団地1-30

TEL.096-377-2300

営/10時~18時

休/なし

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