村田髙生さん、洋子さん宅

益城町に暮らしている村田髙生さん(80)さんと妻の洋子さん(75)の自宅は熊本地震で全壊し、2年前に建て替えられました。「いずれ車椅子などが必要になるかもしれないので家の大半をバリアフリーのフローリングにしましたが、やはり畳のある部屋は欠かせませんでした」と髙生さんが話します。

「あれんじはいつも楽しく拝見しています」と村田夫妻

山登りが好きという2人が、山道をイメージして造った庭が見える8畳の広さの部屋に、床の間や仏壇、押し入れを設け、6畳分の目が詰まった「目積(めぜき)表」の畳を敷いてあります。

「ここで昼寝をしたり、庭を眺めたりします。私が育った家は、板の間がないほど畳だらけの家だったので、今も畳がないと落ち着きません」と髙生さん。

押し入れ、仏壇、床の間がある村田家の畳の部屋

パッチワークが趣味の洋子さんも、「針仕事は畳の部屋で座ってやります。これが椅子やソファーだと案配が良くありません。畳の部屋はお父さんより、私が独占する時間が多いかもしれませんね」と話します。

洋子さんは今年の春先からは、ずっとこの畳の部屋で、離れて暮らす子どもたちや孫、友人のためにマスク作りに精を出したそうです。

畳の部屋で針仕事をする村田洋子さん

畳敷きの部屋を広く見せる、しっくいづくりの吹き抜けの天井

畳の手入れも大切に

どの部屋も掃除が行き届いている村田家ですが、畳の手入れにも気を使うそうです。「梅雨時などは除湿機や扇風機で畳を乾かします。掃除機は畳の目に沿ってゆっくり動かし、乾いた布で拭き上げます。いつもやっていればそんなに手間ではありません」と洋子さん。座敷のテーブルの脚の下には、畳を傷つけないように畳敷きが当ててありました。

「孫たちはこの部屋が大のお気に入り。最近は畳がない家も多いから、わが家に来るとすぐに畳の上に寝転がります」と髙生さんがうれしそうに話してくれました。

畳を傷つけないように、テーブルの脚に畳敷きが当ててあります

山道をイメージして造られた村田家の庭には、いろんな植物が育っています


【最後に】

かつては、身分が高くなければ使うことが許されないほどの高級品だった畳。ようやく庶民も手にできたわけですが、再び「畳のある暮らし」が縁遠くなっています。今回お邪魔したお宅の話を聞いて、畳は単なる部屋の敷物、調度品というだけでなく、日本の気候風土が育んだ文化そのものと思いました。畳のある暮らしは、気持ちが良いばかりでなく、ていねいに暮らすことにもつながる気がします。


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