高濱畳店

七島藺の畳表の見本。値段はイ草の畳表の高級品と肩を並べます

一般に多く使われる、「ひき目」のイ草の畳表

熊本市南区内田町の「高濱畳店」の創業は、第二次大戦が終わった1945(昭和20)年。2代目の高濱豊さん(77)が「さまざまな仕事を経験した父は、畳店で修業し、店を構えました」と言います。

「その頃の畳はこの辺りでも栽培されていた七島藺(しちとうい)が主流でした」と高濱さん。七島藺は、今では大分県の国東半島だけで栽培されるカヤツリグサ科の植物。丈夫で火にも強いことから、柔道場や人の出入りが多い商家の帳場、農家のいろり端の畳などに使われました。一方、イグサ科のイ草の畳は高級品で、座敷や応接間用でした。

30年ほど前までは畳の生活が普通でしたが、和室にカーペットを敷くようになり、近年はフローリングの住宅が増えました。イ草も、全国一の産地・熊本で生産量が年々減っています。日本がバブル経済に沸き、昭和から平成に代わった1989年には県内で約6600haもあった栽培面積が、今年はわずか420haでした。

「ひき目」より目が詰まった「目積(めぜき)」の畳表。縁のない琉球畳によく使われます

左から高濱廉さん、豊さん、義和さん。イ草色のおそろいのユニフォームでニッコリ

「畳は手入れが大変」などの声も聞かれますが、3代目の義和さん(48)は、「イ草の畳には芳香による癒やし効果や空気清浄、調湿・断熱など、住まいの環境を整える効果があります」と話します。義和さんは京都で畳修業を重ね、浄土真宗本山のお寺の畳を手掛けた腕と実績を見込まれて、12年前に熊本城本丸御殿の「昭君の間」「若松の間」などの畳を豊さんと製作しています。

高濱畳店には心強い4代目も育っています。「畳床も稲わらにすると、弾力性に優れ、転んでもケガしにくく、赤ちゃんのハイハイにも効果があります。そうした畳の良さを知ってほしいですね」と義和さんの長男の廉さん(23)。親子代々で畳文化を守り継いでいます。

イ草よりずいぶんと太く、茎が三角形になっている「七島藺」。刈り取ってすぐ針金で二つに裂き、乾燥させてから織り上げられます

高濱畳店

熊本市南区内田町1689

TEL.096-223-0210

営/8時~18時半

休/日曜

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