私たちの生活スタイルが多様化し、個性的なデザインの住まいも増えてきました。以前は当たり前だった畳敷きの和室はどんどん減っていますが、日本で1000年以上の歴史を持つイ草の畳には他に替えがたい魅力があります。そんな畳のある暮らしを訪ねてみました。

表紙=小泉八雲熊本旧居

文=福永和子

写真=下曽山弓子

【畳の歴史】

奈良・東大寺の正倉院に納められた御物の一つに、聖武天皇=756(天平勝宝8)年没=が愛用した「御床畳(ごしょうのたたみ)」があります。マコモで編んだむしろを重ね、表をイ草のむしろで覆って寝台のマットレスにしたようです。今から1260年余り前のこと。これが、現存する最古の畳とされています。

以来、畳は夏蒸し暑く冬寒いという日本の気候風土に合う敷物として愛用されてきました。ただし、それは長いこと公家、高級武士などの身分の高い層に限られていました。幕末ごろには裕福な商家などが畳のある暮らしを享受できるようになりますが、広く普及するのは明治以降のことです。


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