年代や土地を超えてめぐり合った切手

1948(昭和23)年に発行された最初の浮世絵切手「見返り美人」と、翌年に発行された「月と雁」。いずれも1996(平成8)年にカラーで復刻されました

最後に、「コレクションの王様」ともいわれた切手集めに魅了された方をご紹介します。

「一つひとつの切手がどんな旅をしてきたのか、想像するのは楽しいものです」と、消印が押された使用済みの切手を収集している熊本市東区尾ノ上の内野実さん(63)。熊本日日新聞保田窪販売センターに長く勤め、「日本郵趣協会熊本支部」の会員でもあります。

切手愛好家で作る「日本郵趣協会熊本支部」に所属し、会報作りも担当する内野さん。現在11人いる熊本支部会員の中では若手だそうです

日本では昭和30年代から切手ブームが続きました。内野さんも10歳のころから切手に魅了された一人です。内野さんのみならず、当時のクラスメートもこぞって切手集めに夢中になったそうです。

「中学、高校になると切手集めをやめる友人も多かったのですが、私はますます熱中しちゃって。当時は記念切手も次々に発売されていた時代。自分は学校があったので、母に頼んで朝から郵便局に並んでもらっていました」と振り返ります。

内野さんのコレクションの中には、未使用の切手や1円、2円といった円単位の小額切手、ミシン目がずれたエラー切手、切手自動販売機の調整のための見本、使用された封筒やはがきなど、さまざまな種類がそろっています。

その中でもカラフルな色彩に目が留まったのが、各県の花が描かれた「ふるさと切手 花」のシリーズです。よく見ると、一つひとつの切手にその土地の消印が押されているではありませんか。まさか、それぞれの現地に赴いて自分宛てに投函したのかと思いきや、内野さんは「各地の郵便局に手紙を出して、消印されたものを送ってもらいました」と種明かしをしてくれました。

「ふるさと切手 花」の切手リーフ。福井県の花・スイセンと、岐阜県の花・ゲンゲ(レンゲ)

自動販売機で売られるロール切手の最後の部分

珍しい版ズレのエラー切手


愛蔵の切手を美しく保管するアルバム作りに夢中

小学生のころから半世紀かけて集めた切手や郵便物は、なんと10万枚にも上ったそうです。 

「3年前に定年を迎え、3分の2の切手を処分しました。保管する場所がないし、整理にも手が回らないから。今は手元にお気に入りだけを残して、これまでできなかった切手リーフ作りに取り組んでいます」と内野さん。

切手リーフとは、専用の台紙に切手を貼ったもの。枚数や組み合わせを考えながらレイアウトし、最後に切手にまつわる文章を添えるそうです。

内野さんが「切手部屋」と呼ぶ部屋を見せてもらうと、押し入れに作った棚に切手リーフをつづったバインダーがびっしり。整然と並んだ切手のアルバムに、内野さんの几帳面さが伝わってきます。「これはほんの一部。整理し切れていない切手がまだまだたくさんあって」と弾むような口調から、切手とじっくり向き合える時間が増え、楽しくて仕方がない様子が伝わってきました。

切手リーフをジャンルごとにつづった、内野さんオリジナルの切手アルバム

明治時代に「切手」という名称を定めた前島密の1円切手


最後に

世の中のコレクターと呼ばれる人たちが、圧倒的に女性より男性に多く見られるのは、「収集という行為が狩猟本能からくるため」という説もあります。女性から見れば価値を感じないようなコレクションにも、その時々の思い出が詰まっているのでしょうか。少年のように目を輝かせながらコレクションを披露してくれた今回の皆さん。これからも、”楽しい狩り“を続けてください。


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