家具デザイナーから木工作家への転身

作品の試作を重ねた吉田さんのテーブルウエア。吉田家にはプラスチック製品はほとんどありません

上天草市大矢野町。大矢野島の西に浮かぶ、周囲4キロにも満たない「野釜島」。野釜大橋を渡った高台の古民家に家族3人で暮らし、木製のテーブルウエアやオブジェなどを手掛けるのが吉田健吾さん(40)です。

キャニスターは4000円(税別)から。こんな素敵なグッズがあれば料理もより楽しめそう

暗闇を照らす癒やしの明かりとなることを願って、灯台をイメージした読書灯

宮崎出身の吉田さんは、福岡で家具メーカーのデザイナーとして働いていました。8年前に自分の手で作品を作りたいと木工作家に転身。妻の祖父母が暮らした野釜島に移住しました。

納屋を改装した工房には、作品に使う材木が所狭しと積んであります。作業中の木くずが、電灯の明かりの中を舞います。

「木の種類によって機械削りに向いていたり、手彫りの方が味が出たりします。天然木の風合いを生かし、道具としての使い勝手の良さを大切にしています」。サクラ材のボウルを手にしてみました。すっぽりと両手に収まる安定感と、なめらかな手触りに心が安らいでいきます。

色や木目の変化がおもしろい「サクラのボウル」。生木で作るので、後にゆがみや割れができますが、それもまた味わい

吉田さんの作品「一輪挿し」

島の暮らしで 生まれた 木器や鳥のオブジェ

「妻の祖父母たちが慈しんだ家で暮らすうちに、肩に力の入らない生き方ができるようになった気がしました。それは作品にも影響していると思います。島の人も温かくて、小学3年生になる息子にとってもすばらしい環境です」と吉田さん。

料理が好きだという吉田さんは、自分が作ったへらで調理して機能性を確かめ、スプーンやフォークも実際に食事してみて、使い勝手のいい形を作っていくそうです。

ブラックチェリー材で作ったプレート

ふと、リビングに飾られた木製の鳥のオブジェが目に止まりました。近くの海岸に流れ着いた流木で作られたもので、朽ちた木肌の色と木目を鳥の羽根に見立てたリアルな作品です。

「島の一番高い場所で暮らしていると、同じ高さのところを鳥が飛んでいくんです。その姿に感動し、『木鳥(ことり)』と名付けて手掛けているシリーズです」

流木で作る「木鳥」。あまり手を加えず、流木の形を生かして表現します

一日の仕事を終えて一息ついた吉田さんの元に、かわいがっている小犬が寄ってきました。「おー、よしよし」と抱き上げてもらった小犬のうれしそうな表情。そんな光景を、夕日が優しく包んだのでした。

一日の仕事を終え、小犬と戯れる吉田さん

自宅から望む海

木工作家 吉田健吾さん

1979年宮崎県生まれ、40歳。大学で家具デザインを専攻し、卒業後福岡県の家具メーカーに勤務。32歳の時に退社し、上天草市大矢野町に移住。2017年オリジナルの木工品や木の器などを制作する工房「DRAMA STUDIO」を開設。

DRAMA STUDIO(ドラマスタジオ)

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https://dramastudio.theshop.jp

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最後に

季節の移ろいを「色」で表す人。面相の筆先から「世界」を生み出す人。海の「輝き」をガラスに封じ込める人。木肌の「温もり」を柔らかく引き出す人⋯。天草で出会った皆さんの作品に、すっかり心を奪われました。同時に、こうした若手の工芸家たちを引き寄せる天草の魅力を改めて実感しました。

11月1日(金)から5日(火)まで、天草市民センター(天草市東町)で開催される生活見本市「第12回アマクサローネ」に、特集でご紹介した工芸家の作品も出品されます。
※「ガラス工芸ヒロ」のアトリエでは作品の展示販売も行われており、ギャラリーの場所をマップで紹介しています。


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