店内のほとんどの絵本が翻訳ものだという「竹とんぼ」

生きる力を与える絵本

阿蘇外輪山の南西に広がる西原村。小高い丘の上にある「竹とんぼ」は、子どもの本の店として広く知られる書店です。

西原村にある「竹とんぼ」。熊本市から俵山トンネルに向かう県道のう回路から右に入った場所にあります。

「児童書の専門店を始めて38年になりますが、何度やめようと思ったことか」。店主の小宮楠緒(なお)さん(75)が、笑いながらこれまでを振り返ってくれました。当時、児童書専門店は全国でも珍しかったそうですが、需要は少なく、小宮さんは夫の奎一さん(76)とさまざまな苦労を乗り越えてきたそうです。

左から、店を手伝う長男の妻の佳代さん(46)と楠緒さん

「後に引けなかった、というのが一番の理由かな。だって、どうしても子どもたちに素晴らしい本と出合って欲しかったので」と小宮さん。「優れた児童書は生きる力を与えてくれます。たとえ物語のあらすじを忘れても、エッセンスは心に深く沈んで残っていくはずですから」


絵本の翻訳者に こだわる理由

「『教養は児童書で学べ』といわれるように、子ども向けの本はごまかしがききません。だからしっかりと制作されていて、大人にも勉強になります」と小宮さん。

店に並んでいる絵本は翻訳ものが多く、特に翻訳者にこだわりがあるようです。「おすすめしたいのが亡き石井桃子さんが翻訳した作品。彼女は戦後、子どもたちに優れた本に触れてもらうことを、誰よりも願った方でした」

小宮さんが手に取った一冊は、「海のおばけオーリー」(マリー・ホール・エッツ文・絵、石井桃子訳、岩波書店)。母親とはぐれたアザラシの赤ちゃんが、多くの試練と向き合いながら旅に出て、たくましく成長し、母親のもとに戻るという物語。また小宮さんの次男で、翻訳家の小宮由(ゆう)さん(45)が手掛けた本もあり、どの物語も心に響きます。

いくつもの絵本から伝わってくる愛らしく、力強いメッセージに触れた後で店を出ると、「教養は児童書で学べ」という小宮さんのお話が不思議なほど納得できるのでした。

竹とんぼ BOOK

「海のおばけオーリー」
(マリー・ホール・エッツ文・絵、
石井桃子訳/岩波書店)
1620円
母親とはぐれたアザラシの赤ちゃんオーリーが、訪れる試練を乗り越えたくましく成長する物語。海上に顔を出したオーリーがおばけと間違えられるシーンも

「クマのプーさん プー横町にたった家」
(A.A.ミルン・文、E.H.シェパード絵、石井桃子訳/岩波書店)
2268円
小宮さんが中学生の時に出会った、A・A・ミルンが書いた熊のプーさんの物語です

「台所のメアリー・ポピンズ」
(P.L.トラヴァース文、メアリー・シェパード絵、小宮由訳、アンダーソン夏代・料理訳/アノニマ・スタジオ)
1728円
(暮らしの手帖社)
2500円
乳母、メアリー・ポピンズの1週間の物語と、イギリスの伝統料理やお菓子のレシピが紹介されています

竹とんぼ

阿蘇郡西原村小森1847-3

TEL.096-279-2728

営/10時~18時

休/なし

P/5台

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