田島さんの茶室の床の間に飾られた掛け軸と、生け花のしつらえ。花器は小代焼、井上泰秋氏の作品

田島さんの茶室の床の間に飾られた掛け軸と、生け花のしつらえ。花器は小代焼、井上泰秋氏の作品

「茶席は、もてなす側ともてなされる側が、真心を尽くす場で、一期一会の出会いを大切にするものです」と田島さんは話します。また「茶道は、日本の総合芸術だと思います。着物をきちんと着付けて作法を学ぶことで、立ち居振る舞いや所作が培われ、掛け軸や生け花に対して、亭主の思いをくみとります。茶道を通じて本物を知り、感性を磨くことを体得してほしい」とも付け加えます。

田島さんの言葉は、私たちが普段の暮らしを丁寧に生きるためのヒントに満ちています。

肥後古流ではこぶしを畳につけておじぎをします。たとえ戦場で茶をいただく時にも手のひらを汚さないようにという武家の茶道らしい作法です

肥後古流ではこぶしを畳につけておじぎをします。たとえ戦場で茶をいただく時にも手のひらを汚さないようにという武家の茶道らしい作法です

道具の配置も、茶をたてる位置も畳目の数などを目安に全て決まっています

道具の配置も、茶をたてる位置も畳目の数などを目安に全て決まっています

コチョウワビスケの生け花

コチョウワビスケの生け花


茶の湯の作法に学ぶ

茶こしでこした抹茶を、さらに茶碗の中でも茶杓でならします

茶こしでこした抹茶を、さらに茶碗の中でも茶杓でならします

茶会の前に亭主は抹茶を茶こしでこして、きめ細かくします。茶をたてた時にダマができたりしないようにするためです。

お点前では、まず茶碗にお湯を注ぎ、茶筅(ちゃせん)を浸しては回す仕草を繰り返します。これは茶碗を温めると同時に、茶筅に折れなどがないかを調べるためです。また、お湯が沸いた釜のふたを取る際、しずくを釜へ落とし、ふたを水平に動かすのは、湯気のしずくが畳に落ちないようにするためです。

道具類を置く位置が厳格に決まっているのも、客の前で粗相をしないようにするため。すべてが、客をもてなすための合理性に裏打ちされています。

その所作や意味を学ぶと、自宅で扱う食器や道具にも丁寧に向き合いたいと思えてきます。


心遣いと奥ゆかしさ

冬の茶席では、畳に切った炉でお点前をします

「お茶は礼に始まり、礼に終わる」。茶席では、亭主はまず正客に茶を出します。正客はすぐにいただかず、次客に「どうぞ」と譲ります。それを受けて次客は「お先にどうぞ」と返します。そして「では、お先に失礼いたします」と頭を下げてから、正客が茶をいただきます。

こうした、人への心遣いと合理性、奥ゆかしさや礼儀こそが、茶の湯から学ぶ心得ではないでしょうか。

「茶道というと、堅苦しいイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、忙しい今の時代だからこそ、茶の湯の精神が生きてくるのではないでしょうか。私たちはこれからも、千利休から受け継がれてきた決まり事を、後世に大切に大切に伝えていきたいと思います」と田島さんは結びました。

奥から水指、手前右が茶入れ、左が茶碗と茶筅、茶杓

奥から水指、手前右が茶入れ、左が茶碗と茶筅、茶杓

正客から次客へと、濃茶が手渡しされます

正客から次客へと、濃茶が手渡しされます

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