滑らかにたてられた薄茶。口当たりとほどよい温かさに癒やされます

滑らかにたてられた薄茶。口当たりとほどよい温かさに癒やされます

茶室の畳に切った炉の上の釜から、静かに湯気が上がっています。床の間の掛け軸や生け花に季節を感じながら部屋に入って、畳に座り、亭主のお点前をいただきます。若い頃、少しだけかじった茶道の作法を思い出しつつ、外界と隔てられた茶室の空気に身が引き締まります。

「茶の湯は『形』から入りますが、形ができてから『心』を入れるものです。一つ一つ作法が身についていくにつれ、茶道の奥深さが分かってきます」と話すのは、熊本市の尚絅高校茶道部でもお茶を教える、肥後古流的々社(ひごこりゅう・てきてきしゃ)の田島公子さん(75)です。

尚絅高校の茶道部でもお茶を教える、肥後古流的々社の田島公子さん

尚絅高校の茶道部でもお茶を教える、肥後古流的々社の田島公子さん

肥後古流は熊本藩で伝えられた武家の茶道です。細川家初代熊本藩主・忠利の父だった忠興(三斎)は、「利休七哲」の一人と称される千利休の高弟でした。八代市の松井文庫には、豊臣秀吉の怒りを買い、堺で蟄居(ちっきょ)するために淀川を下る利休を、弟子の忠興と古田織部がひそかに見送りに来ていたことへの感謝を伝える、利休直筆の書状が残っています。

忠興は、利休が完成させた「わび茶」の作法を守るよう家臣らに命じ、跡を継いだ忠利も利休の作法を最もよく伝える者として、古市宗庵を細川家の茶頭に召し抱えました。これが肥後古流の始まりで、宗庵は萱野(かやの)家、小堀家にも奥義を伝えました。

茶道にはこの他に表千家、裏千家、武者小路千家などの流派があります。いずれも、美しい所作や礼儀、人としての心構えを学ぶ場として、奥の深い魅力にあふれています。

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